私物語
あの日あなたに電話しなければ
あなたはわたしのこと
なんとも思わなかったかもしれない
あの日あなたと話さなければ
わたしはあなたのこと
なんとも思わなかったかもしれない
ちょっとしたきっかけが
わたしの心に落ちて
あなたへの気持ちが
水面（みなも）を走る波紋のように
幾重にも幾重にも広がっていった
気がつけばわたしは
毎日あなたのことを考えていて
どんどんあなたを好きになっていった
あなたのためになりたいと
思えば思うほど
ますますあなたを好きになった
一日のうちのどんな一瞬でも
あなたの役に立ちたくて
あなたに喜ばれたくて
だけど
わたしは小心者の臆病者
傷つくのが怖くて
今日も
あなたの後姿を見送っている
とめどなくあふれる
この愛しささえ
迷惑と言われればそれまでだからと
今日も
なんでもない顔をして
あなたを見送っている
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