蜃気楼
あの日ふらりと出て行ったあなた
ひとつの言葉さえ残さず
僕の前から去っていった
街を誰かと歩くのを見て
追いかけようとしても
ただ遠ざかるばかりだった
なのに今
ふと顔を上げるとあなたの姿
どうしたの
戻ってきてくれたの
僕の声は聞こえるはずなのに
何も言わずたたずんでいる
一歩前に出て
あなたに触れてみたくて
でも躊躇している
あなたの声を聞いて
あなたの心にふれたくて
でも躊躇している
そこにいるあなたが
まぼろしだったらと思うと
消えてしまったらと思うと
怖くて怖くて
今の僕にできるのは
ここでそっとつぶやくだけ
ずっとあなたが好きでした
今もあなたが大好きです
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