皆既日食
白夜の雪原を黒い影が走り
山吹色の地平線が
濃紺の影に飲み込まれていく
夜色の影をまといながら
暗黒の月が太陽を食らう
少しずつ少しずつ
確実に
断末魔の光を抑えきって
最後のかけらまで食らった
その瞬間
なされるがままに見えた太陽が
激しく輝く黄金の翼をひろげ
月を包み込む
天空に無音の響きが
鳴り渡り
静寂の雪原に満ちる
やがて
飲まれまいとする月の影から
太陽の輝きが
一気にほとばしって
雪原の影は走り去る
濃紺の空に光が満ちて
澄み渡る青空が雪原を照らす
なんと激しく
なんと厳しく
なんと力強く
なんと美しい
この宇宙の下
僕はひとりあなたを愛する
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