夕刻 いつものように 一礼をして振り返る 僕の姿は 君から見えるだろうか 遠く見上げる窓辺に 君を求める間もなく むきなおりざま 僕は歩き出す 君は僕など きっと気にしてはいない そういい聞かせると 目の前の木立を見据えて 僕は足を進める 川のざわめきが 谷からわきあがって 足もとにまとわりつく ヒグラシの声が 黒く沈んだ木立をすり抜けて 僕に追いすがる トップへ 戻る