白いバイク
白いバイクを買いました
あなたの思い出から自由になりたくて
５月の夜
蛍舞うあなたの家の前で
やっと口に出した言葉に
こたえなければいけませんかと聞いたあなた
黙り込む私に
ゆっくりと手を出してこたえたあなた
あの日からずっと
僕はあなたを苦しめていたんだね
電話の向こうで黙り込むあなたの気配に
やっとそのことに気がついた
嵐の夜
僕はどうしても言いたくなかったひとことを
勇気を出し言ったんだ
僕たちもう
さよならしたほうがいいねって
だけど
ほんの半年のあいだなのに
あなたと重ねた思い出が
ぼくの心をしばってはなさないんだ
毎日見る風景の
一つ一つにあなたが見えて
涙が僕を捕らえるんだ
だから
７年ぶりにバイクを買いました
真っ白いバイクを
今はとてつもなくひとりだから
もっとひとりになりたくて
秋の山をわたる
知らない風に出会いたくて
あなたのいない思い出で
空っぽの心を埋めたくて
これで自由になれますか
あなたの思い出から
白いバイクを買いました
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